片麻痺発症からの自立への道のり
片麻痺の障害は、身体的な制約の他に心理的な負担も伴います。そのような状態でも、その障害を乗り越え、極力介助を減らしながら生活することは可能だと思っています。
これから私自身が、左半身麻痺を持つ者としてその過程、そして現在に至るまでの学びを共有したいと思います。
片麻痺の障がいとリハビリ
片麻痺になると、症状の度合いもよりますが、発症時は右もしくは左手足、顔面の感覚、さらには、自身の意思で手足を動かすことができない状態が続きます。
そして、その症状が判明した時点で早速リハビリがスタートしますが、片麻痺がどういった障害なのか、まずはそこから紹介していきます。
片麻痺とは?
片麻痺は、身体の片側(左側または右側)に麻痺が生じる状態です。
この症状は、一般的に脳卒中からの後遺症が多いようですが、医学的には脳の片側半球にある皮質脊髄路(随意運動を行うために筋肉へ指令を出す経路のこと)を損傷することによって引き起こし、麻痺が発症するといわれています。
片麻痺発症の原因
その原因として、「脊髄損傷」や「脳腫瘍」、「脳感染症」などがあります。
そして、この後遺症は、運動障害に加えて「感覚」や「記憶」、「認知」などの障害を引き起こす恐れがあるようです。
現に私自身は、脳出血の一つ「右被殻出血」と診断され、なぜかその反対の左半身麻痺の後遺症が残ってしまいました。
麻痺の発症時からリハビリ開始!?
私は、職場で倒れて救急車に乗せられ、病院まで救急搬送されています。
病院に着くと、先生が自分に何かを説明し、CTスキャン等に入るまで記憶があったので、そこまでは意識があったようです。
そして、集中治療室から一般の病室に移された時点で理学療法士の方が来て、驚いたことにそこからリハビリがスタートしています。
4つのステージに分けたリハビリ計画
まだ酸素吸入を受けているその時、リハビリ担当の先生から説明を受けています。
その説明が、今も覚えていますが、麻痺の症状が判明した時点で、出来るだけ早くリハビリを始めることが大切だということでした。
そしてその後は、麻痺の状態を把握して可能な限り、自立できるように計画を立てていたようです。それが、「急性期」≫「回復期」≫「維持期」≫「終末期」との順で自立に向け、4つのステージに分けたリハビリ計画です。
急性期でのリハビリ
第1ステージの急性期というのは、「発症早期に症状の安定を図る時期」といわれていますが、私自身もこの時期を乗り切ってきました。
実際の体験は、初日に病室でリハビリが行われて、どこまで麻痺があるかの確認作業と手足を動かすことで、可動域や患者の反応など見て、麻痺部分の把握をしているようでした。
麻痺の一部が回復
その後、日にちが経つにつれ、眠った神経が徐々に回復し、視野が左だけ麻痺で狭く見える症状、『例えば、病院食でお盆の上のお椀やお皿などは見えるが、その脇の果物が見えていない状態』が少しずつ改善されています。
それでもまだ、自力で座ることも寝返りを打つこともその当時はできていない状況でした。
そのままでは、本格的なリハビリには進めないので、介助を受けながら車椅子に乗るコツを教わりながら、ようやくリハビリルームへと通える状態になりました。
本格的なリハビリがスタート
車椅子の移動が可能になり、いよいよ本格的なリハビリの始まりです。
元気だった時には考えられないことですが、寝返りや座り方の練習から始まります。
それもそのはず、当時は左手足が全く動かない状況だったので、寝ている状態から座るということが非常に困難でした。
そもそも、手すりなど何もないところで麻痺側から起き上がるのは、物理的に無理なので、先生から右側から起きるコツを教えられました。
頭で重心を移動させ動作する
起き上がる時に、頭が一番重いということで、その頭をどう動かすかで体の動作がスムーズになることを、リハビリで学んだことを今でも覚えています。
そもそも、最初に寝返りも頭の傾きで余計な力を使わずにできることも学んでいるので、起き上がることは容易でした。
そこから、台の下に足を下ろして、座る練習を始めました。そして、立つときも頭を前に傾けることで、重心を移動させて立ち上がる訓練から、車椅子に自力で乗る練習へと進めしました。
そして病院での移動が、ある程度自力でできるようになると、回復期へと移ります。
人の動作は頭の位置が重要!?
脳出血で倒れて、片麻痺の後遺症が残った当時は、このまま寝たきりで過ごすのかと絶望視していたけれど、その後はリハビリのおかげで、車椅子で病院内をうろうろ移動できるようになりました。
そして、急性期のリハビリで学んだことは、健常者だった時には経験することができない体験をしています。
特に頭を意識せずに身体を動かすと、腰や首に負担をかけるということを、その時に初めて知りました。