いよいよ、歩く訓練開始か!?
脳出血で倒れ、病院まで救急搬送されて片麻痺障害の後遺症が残り、酸素吸入を受けながら第1ステージとなる急性期のリハビリがスタートしました。その期間で、寝返りや起き上がり、そして介助を受ける形で車椅子に乗る訓練を行っています。そして、その段階を経て、第2ステージとなる回復期に入り、いよいよ歩行訓練が始まります。
急性期から回復期へ
急性期のリハビリでは、治療を行うとほぼ同時期に、麻痺側の動作確認から機能回復を重視したリハビリを中心に行っていました。その後、その期間が終わると次は回復期という新たなステージに移ります。まずは、回復期で何を行う期間であるかを共有していきましょう。
回復期とは?
回復期は、最も効果的に身体機能の回復、日常生活に必要な動作の改善を行う期間です。そのリハビリでは、回復の度合いを見ながら『理学療法士』と『作業療法士』の二人先生による様々な指導が行われます。そして、これまで生活してきた環境を把握した上で、今後の生活に不可欠な「寝返り」「起き上がり」はもちろん、「食事」「排泄」「更衣」などの基本動作を学びます。
理学療法士
理学療法士は、ケガや病気などの影響により、身体に障害が発生した場合や発生が予測される人に対し、「座る」「立つ」「歩く」などの基本動作能力の回復、および障害の悪化を予防することを目的としたリハビリを行います。そして、運動療法や温熱、電気療法などを用い、自立した日常生活が送れるようサポートする医学的リハビリテーションを行っています
作業療法士
作業療法士は、身体に障害が発生した患者さんの状態や目標に合わせ、さまざまな作業に焦点を当てた「治療」「指導」「援助」を行います。
また、作業療法では「基本的動作能力」(運動、感覚・知覚、心肺や精神、認知機能)、「応用的動作能力」(食事やトイレ、家事など、日常生活で必要とされる活動)、「社会的適応能力」(地域活動、就労、就学、趣味活動など)の3つの能力を改善もしくは維持することで、自分らしい生活の獲得が最終目標とされています。
回復期での実体験
私自身、脳出血で倒れた後は救急病院で急性期を経て、それと同時にリハビリに集中するために田舎の病院へと移りました。その当時は、車椅子に頼っている状態だったため、立つのがやっとの状態です。そこで、転院によって新たに就かれた理学療法士や作業療法士の先生が、前の先生による評価と現在の状態の把握から、今後のリハビリ計画を立てることから始まっています。
作業の状態を把握
リハビリ初期段階は、患者の片麻痺の状態を評価し、今後の具体的な目標を設定します。私の場合、後遺症の評価では比較的に重度の部類だったらしく、急性期でのリハビリでは、慎重に麻痺の度合いを指先から試すように検査を行い、その当時は比較的にゆったりとした流れだった印象でした。そして、その後の回復期でも、聞き取りやその症状に対する現時点の評価などの引継ぎを行っています。
麻痺側に起こる問題を事前に予防!
回復期で初めに感じたのが、想像以上に展開が早く、手足や指先などの感覚の回復度の診断は簡単に済ませ、今後麻痺側に起こる重大な問題を事前に予防するため、独自の計画を黙々と進めていたことです。
痙縮と拘縮
後で知ったことですが、最初に行われたリハビリは、脳卒中でよくみられる機能障害の一つ、痙縮(筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくい状態や、勝手に動いてしまう状態)によって起こるといわれる拘縮(関節や筋肉の動きが制限され、固定される状態)を防止するため、ストレッチのような訓練が優先されていたような記憶があります。
院内を自力で移動する訓練
転院した当初は、病室での訓練がメインでしたが、2週目あたりから体調が良い時はほぼ、リハビリルームでの訓練となりました。最初は、その都度看護師や療法士の先生などに車椅子を押してもらいながらリハビリルームへと通っています。しかし、この時はあくまでも目標は車椅子の自走での移動でした。
ようやく病院内を自走で移動
その後、数週間が過ぎましたが、その間も先生に自力で院内を移動できるよう、エレベーターの対応や扉の開け方などの指導を受けていました。そして数日後、ようやく自走でリハビリルームや食堂、トイレへと移動できるようになります。しかし片麻痺障害では、車椅子の自走するにあたって、一つだけ難点がありました。
車椅子走行で片麻痺の難点とは
車椅子の自走は、片麻痺患者のみにある難点があります。一般的に車椅子で移動する際、両腕を用いて自走します。しかし片麻痺患者の場合、非麻痺側の上肢(上半身の手)でタイヤを回しますが、そのままでは麻痺側に回ってしまうので、左右のバランスは非麻痺側の下肢(下半身の脚)でコントロールするような方法を用いて、自力走行の問題を解決していました。
車椅子移動の障壁
入院生活で、移動手段が車椅子だけという生活を始めた当初は、いくつもの思いがけない障壁がありました。その中の一つは扉で、「引き戸」に関しては比較的に開きやすいタイプの扉でした。しかし、「開き戸」となると難易度が高く、ドアノブを非麻痺側の手でつかみ、片足だけで車椅子ごと押し引きする形となるなど、個人的に苦手な部類となっていました。
車椅子移動から学んだこと
以前健常者だった時は、『扉の種類』『傾斜』『段差』など特に意識はしていなかったように思えます。しかし、実際に自身が車椅子生活する中、生まれて初めて体験するその経験から、今まで持ち合わせていなかった大切なことを、たくさんの学びから得ることができたのではないかと感じています。